クロンチョンはワールドミュージックです。エスニックというには「ミックス」がすでにされております。
クロンチョンの起源は、16世紀、インドネシアの主だった島々がポルトガルに支配されていたころにまでさかのぼるといわれている。世界のポピュラー音楽に詳しい中村とうようによると、インドネシアの島々に来航したポルトガル船に搭乗していた船員たち(ポルトガル人、アフリカ人、アラビア人ら)の音楽が伝えられ、そこに当時のインドネシアに固有の伝統音楽の要素が取り入れられて、混交音楽としてのクロンチョンが生み出されたという。
また、インドネシア研究者である土屋健治によると、クロンチョンは、インドネシアがオランダの植民地(オランダ領東インド)となっていた19世紀末のバタヴィア(現在の首都ジャカルタ)で流行し、20世紀になると大衆演劇にも取り入れられ、その巡業のネットワークにのって各地へと広がった。そして1920年代後半にラジオ放送がさかんになると、その電波にのってクロンチョンはさらに全国へと広がっていった。